部屋の様子が何か変だと思ったらピッキングを疑うべし

知らないほうが幸せなことが世の中にはたくさんあるけれど、例え恐怖のどん底に突き落とされるのだとしてもやっぱり知るべきだということはある。

私は昔から変わった人に好意を持たれることが多かった。そんな人たちの好意の寄せ方はやはり普通の人とは違っていて、プレゼントに下着をくれたり、自分の体毛をくれたり、背筋が寒くなるようなやり方を好むのだった。もちろんそれらはすぐに処分するのだけど…。そんなことが多かったせいか、今では変わった人に対するアンテナが人より敏感になっていて、私のことを見つめる…いや、舐るような目で見てくる人たちをいち早く察知して警戒して距離を置く、ということが自然と身に付くようになっていた。

そんな風に慎重にしていても、避けられないことはある。最近家に入ると何か違和感を抱くことが多くなっていた。口ではうまく説明できないけれど、それまでの私の家とは明らかに空気が違うのだ。気味が悪くなった私は防犯カメラをレンタルして昼間の留守の時間に設置することにした。するとそこに写っていたのは…私の家に堂々と侵入している隣の部屋の男性の姿だった。息が詰まりそうになりながらも、両親に連絡すると、すぐに警察を呼べと言われたのでその通りにした。結局隣人の男性は捕まり、私の部屋からは盗聴器と、洗面所からは隠しカメラが見つかったのだった。今まで数度しか顔を合わせたことがなかった人だったのに…。どうやらピッキングでうちに侵入していたらしい。物的被害はなかったものの、精神的に追い詰められた私は会社を辞め、実家のある田舎に戻ることになったのである。

部屋の様子が何か変だと思ったらピッキングを疑うべし。もしあのまま気づかずにいたらと思うと…今でも思い出したくない、鳥肌が立つ事件だ。